音楽

米津玄師は消費されない 【2017 LIVE / RESCUEレポ】

7/14米津玄師のライブ、RESCUEに行ってきました。
「米津玄師、、、おめぇ、、ハイブリッドやな、、」
というのが、総合的な感想。

ライブ会場は、東京国際フォーラム。
自身初となるホールライブでキャパは5000人。
半年ぶりのライブだそう。

僕は2階席からこのライブを見たのですが、2階席という名の崖だった。
米津玄師は、身長188cmという高身長だが、ほぼほぼ崖に近い2階席から見下ろす米津玄師は、米粒のように小さかった。米だけに。

■セットリスト
本編18曲+encore2曲

ナンバーナイン

1曲目はミドルテンポのナンバーナインからスタート。
1曲目という緊張もあってか、音程が少し不安定だったり、多少の硬さがあったけれど、このライブを共に作る関係者の想いや、観客の期待が一気にのしかかってくる事を想像したら、どれほどのプレッシャーがのしかかってくるのでしょう。。
ただただ尊敬しております。
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この曲は冒頭の歌詞で、砂漠化した東京を連想させ、「どこへ行こうか」と問いかけるように始まる。
まさにこうして始まったライブを通して、「僕らをどこかへ連れて行ってくれる」という期待感を感じずにはいられません。

始まりの曲として、こんなにもいい曲だったとは、、。

フローライト

米津玄師とかいじゅうと子供が、共に旅をしているMVが印象的なこの曲。
まさに旅の始まりということでしょうか

米津さんは、物事にストーリーを持たせるのが好きなのだと思う。

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サビでは裏声が出ず、声を張り上げて歌ってました。
米津さんはライブで裏声が出ないことが割と多い。
(ツイキャスでは裏声出ないDAYと言っていた)

夏フェスでは、声がまったく出なくなるという「ハプニング」に、不甲斐なさを強く感じていた模様。
それもあってか前回のツアー「はうる」では、それを払拭するかのように、苦手な裏声も綺麗に歌いあげ、それがまた凄まじく圧倒される歌声だったので、裏声でないDAY克服か〜と思っていたのですが

今回は調子が悪かった模様。

無理せず少しずつよくなるといいなあ。

メランコリーキッチン

ライブではお馴染みの曲。
米津ファンからの人気も高い。

「フゥ〜フゥウフゥフゥフゥ〜」一緒に口ずさんでいる人も多い気がする。
楽しく体が揺れました。

あたしはゆうれい

個人的に今回ツボだった曲

バンド形式のライブで演奏されたのは初めて。(過去に弾き語りは有り)

個人的なツボはドラムの音
良い意味でヘンテコである。
ライブで聴くと、このヘンテコさの可愛さが倍増する。

叩くのではなく置く
叩くのではなく置く

みたいな感じ(雑)
とにかくサウンドが気持ちよかった。
またライブで聴きたい

翡翠の狼

こちらもライブでは初登場。
この曲もリズムが気持ちい曲なので、自然と体が揺れる。

米津さんの幼馴染でありギター担当の中ちゃんは、ギターを背中の方へずらし、フロアタムを叩いていた。
ギターだけでなく、シンセやタムも演奏するので大変である。

ちなみにフロアタムとはこんなの

その他この曲の見所は、何と言っても、米津玄師の遠吠
「ワオワオワーン」
と遠吠えした後、会場の女性たちが、口を揃えて可愛いと漏らしていた

あざといぞ米津玄師!!

Black Sheep

ダークで不穏なサウンドのBlack Sheep
狼の次に羊を持ってくる辺り、米津さんの遊び心を感じる。

個人的にこの曲はキラーチューンだと思う。
前回のツアー「はうる」で披露した時と、少しアレンジが変わっていたような、、曖昧。

須藤さんのベースが荒ぶったりと、サウンド面は激しめ。
ボーカルは前回同様、後半はファルセットで不穏感を表現していた。
楽曲の味を最大に尖らせたようなアレンジで、たまらんかった。
ライブでやるの気持ち良さそう。

この曲も横揺れが非常に気持ちい曲なので、楽しく踊れた。

砂の惑星※新曲cover

突然「新曲やります」と宣言したかと思えば、演奏と同時に、ステージ後方に巨大スクリーンが登場し、アニメーションが映し出される。

皆んなえ?え?って感じ

どうやら新曲というのは、マジカルミライのテーマソングとして、米津玄師が4年ぶりにボーカロイドで作った楽曲、砂の惑星の事らしい。

まさか初披露がセルフカバーとは、、
ハチ名義と米津玄師の垣根はもうほとんどないようですね。

曲を聞いた感想は、米津節満載!
待ってました!という感じ。
既存アルバムに分類するならYANKEEが近いと思う

同じくセルフカバー曲のドーナツホール同様、米津さん自身が歌っても全く違和感なし。

砂の惑星もセルフカバー音源を期待せざるを得ない。
頼む!!出してくれ!!

ちなみにアニメーションに登場する、初音ミクが着ていた服と、今回着ていた米津玄師の服がめちゃくちゃ似てた、、笑

映像はじきに公開されるのではないかと思われる。

orion

ステージ上が満点の星空に包まれる演出からorionのイントロが流れる。

ストリングスは生音を期待してたけど、残念ながら録音音源だった。

とはいえこの曲と演出はホールライブだからこそ光る部分も多くて、聴きながらついうっとりしてしまう。

後半はミラーボールが月の役割を果たすかのように光り、会場全体を照らす。
その光景は宗教的に神々しいように思えた。

米津さんのライブは、洗脳の場っぽい雰囲気があっておもしろい。
もちろん良い意味で。

ゆめくいしょうじょ

この度発売された曲の一つで、ボカロ時代の曲をリメイクしたもの。

イントロと同時に、ステージ上で米津玄師を含むバンドメンバーの姿が見えなくなる。

どうやら大きなスクリーンがステージ前に降ろされたようで、メンバー達は後ろに隠れて見えなくなったよう。

スクリーンにはまたまたアニメーションが流れる。
アニメーションのタッチは独特で、昔の品のある絵本という感じ。
こういう時語彙力の無さが悔やまれる。
※追記 イラストは加藤隆さんとのこと。
people in the boxの旧市街のMVも担当されている方ですね。

以前ゆめくいしょうじょをレビューした際にも、書いたが、少女が浄化されるようなイメージを持つ曲だが、その世界観を見事に投影した映像でした。

ライブだけでしか公開しないのだろうか?
こんなに素晴らしいものを、限定的な人しか見ることが出来ないのは、もどかしい。

落ちサビは、音源同様、アカペラ。
ただリズムを確かめるように、小さくドラムが合図をだしていたように思う。

タイミングもばっちり決まり力強く歌いきった。




ゴーゴー幽霊船

ライブでは定番、一番盛り上がるといっても過言ではないと思う。

米津さんの「ワンッ・トゥー・スリー」という掛け声とともにキラーチューンなイントロが鳴り出す。

ヘンテコなギターフレーズを聴くのがどうしてこんなに楽しいのだろうか、、

ライブで何度演奏されても、飽きない不思議な曲。

この段階では、もうボーカルに対する不安はまったく感じられず、勢いとノリを掴んだ米津玄師は、会場をさらに盛り上げておった。
楽しい

駄菓子屋商売

続けてこの曲もライブでは定番の曲。
本人もライブ栄えする事を、観客のノリをみて分かっているのだろう。

駄菓子屋商売は、ライブで聴くとめちゃくちゃ楽しい。
ライブという合法的に踊れる場所が用意され、こんなハチャメチャな音楽が鳴り出せば楽しいに決まっている。

曲の中で「ブーブーブーブー」とブーイングをする部分があるが、皆楽しそうに手を挙げて表現していた。

純粋にサウンド面でも、気持ちの良い不協和音が大音量で流れ、妙な中毒性に包まれる。

電子ドラッグってこんな感じなんだろうか。
とにかく楽しい。

米津玄師のライブ後半戦は大体激しい。

ドーナツホール

こちらもライブでは定番の曲。
お客さんのハンドクラップが気持ちよく楽曲とマッチする。
米津さんのライブは意外と一体感を感じられる曲が多い。
だからと言って、右向け右で一体感最高~という馬鹿みたいな感じではなく、個人個人が楽しいからやってて、それがカタマリになっているイメージ。

実際はわからんけど。

アイネクライネ

ライブでしていない日はあったのだろうか?というくらい定番。
米津玄師の名刺代わりの曲。

ドーナツホールが終わった後、無音から空間系のエフェクトがしばらく鳴り響く。
常連の人はこの時点で、アイネクライネだと気づいたは人も多いだろう。

何度聴いても名曲である。

LOSER

ココ最近で一番、インパクトを与えた曲ではないだろうか。
音楽に詳しくない人に、米津玄師の話をすると、変な踊りをする人やろ?と言われる事が多くなった。
それだけLOOSERという曲が浸透している証拠である。

今回のライブでは、米津さんによるダンスはなし。

この曲も今後、ライブの定番となりそうな予感がする。
こうして人気楽曲が増える度、聴けない曲も増えてくるというのは少し悲しいが、ライブ中はそんな事を感じる暇もないほどに楽しい。

皆でクネクネダンスしたら絶対もっと楽しい

ピースサイン

この度発売された新曲ですね。
イントロと同時に、ピースサインを掲げている人が大勢いたのが印象的だった。

蟹みたいな人もいてちょっとおもしろかった、、笑

この曲は前回の記事で書いているが、子供の頃を思い出しながら作った曲だそう。

全体を通してみれば、今回のライブはそれがテーマとしてあった気がする

love

米津玄師によって生み出された、様々なかいじゅうイラストを集めて書籍にした、「かいじゅうずかん」に描き下ろした楽曲。

どこまでも愛を歌っている曲で、「どんなに遠く離れていたとしても」「ずっと深く傷ついたとしても」「もう二度と会えないんだとしても」「いつかは嫌われたとしても」

とネガティブなのかポジティヴなのかよくわからない歌詞が繰り返し歌われる。
しかし間奏の「I love you」ですべてを理解できる。

個人的にこの曲は音源で聴くよりも、圧倒的にライブで聴く方が好き。

やっぱり生は迫力がある。

愛の歌なのに少し、悲しい
なんというか米津さんは、技術的な部分ではないところで、すさまじいな表現力を持っていて本当にすごい。

ちなみにこの曲もスクリーンに映像が映し出されてて、いろんな動物が渦巻いてたり、なんだか哲学的な映像でした。

fogbound※新曲

なんとまさかの、新曲披露!!!!
ライブ中は曲名を、公言していなかったけど、どうやらfogboundという曲名らしい。

次にやるツアーと同じ名前だ、、、、という事はツアー前にアルバムでますね、、、きたこれ

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曲の感想ですが、もうほんとにドストライク。
たまらん。
米津さん最高かよ

曲は、少し怪しげな雰囲気でゆっくりめだった気がする。
1回聴いただけじゃ、もうほとんど記憶にない
めっちゃよかったという記憶に全てを持って行かれた。

もう細かく覚えてないけどこんな感じの曲だったような気がする

もうちょっとハイブリットだったきがする。
洋楽を、上手に日本曲に昇華したような感じで、サウンドは気持ち悪いんだけど、妙に愛らしいメロディがあったりたまらん。
早くもう一度聴きたい

春雷※新曲

そしてなんとまたまた新曲!!

こちらはノレる曲っぽい雰囲気
Aメロはヒップホップっぽさがある
サビはキャッチー

サウンドも、気持ち悪さと癖になるキャッチーさを合わせ持つような感じ

多分このギターは春雷のフレーズだった気がする。
もしかしたらfogboundの方かもしれない。

映像はペンキが塗りたくられるようなもので、HQさんという方が担当されたそう。

映像もほんとによかった、、

米津さん本人からご依頼したそうな

もう米津玄師とまらねぇなという感じ
早く新曲を聴きたいよ、、

アンビリーバーズ.encore

アンコールで戻ってきて「ありがと〜」と声をだす。
今回のライブはMCが少しチャラい、、笑

アンビリーバーズのSEが流れて、演奏開始。

アンビリーバーズでは米津さん自身がフロアタムを叩く

なにかを確かめながら叩いてように見えて米津さんの演奏する姿は、視覚的にも好き

また、のちのMCで、アンビリーバーズを選曲した意味もわかる。
「遠くへ行こうぜ」

Neighbourhood.encore

アンビリーバーズが終わり、メンバー紹介が始まる。

その後中ちゃんとMC。
ライブ自体半年ぶりで、ブランクを感じる。リハーサルで震えてた、みたいなことを話してた。

そして次の曲について話し始める。
子供の頃を思い出しながら作った曲で、田舎から早くでていきたかった。くそつまんねーと思ってた。
でも勇気をだして遠くを目指してみたら、今は良い環境にたどり着いた。
今、辛かったり、つまらないと感じている人は、ほんの少し勇気をだして、一歩踏み出せば何かあるんじゃないかな

と話し演奏を始める

Neighbourhoodの歌詞で「逃げ出せこの街を 飛ばせ飛ばせ飛ばせ 笑え笑え笑え」というのがあるけど、アンコールで歌った2曲は、いずれも「今いる場所から離れる」ということについて歌っていて、多分このライブで伝えたかった事はこういう事なんだろうなと感じた。

自分自身も、そういった経験があるので、肯定してもらってるような気がした。

まとめ

毎度米津さんのライブは、伝えたい事(表現したいこと)を一つ決めて、それが伝わるように構成を組んでいるように思う。
米津さん自身が再三言っていることではあるが「遠くへ行きたい」という米津さんの現在のモチベーションと、それを実行に写し、つまらない場所から逃げ出すことができた実体験を元に作られたのが、今回のライブではなかろうかと思う。

僕は米津さんのこういうところが好きだ。
ただ盛り上げる、楽しいだけじゃなくて、何かしら持って帰れる部分があるというか、、

現在、巷では使い捨てのような音楽で溢れかえっているが
米津玄師の生み出す曲やライブは、消費するだけの音楽ではないということがはっきりわかる。

長くつづくアーティストというのは、曲の良さももちろんあるが、絶対的にこれがあると思う。
やはり根本が違うのだろうか、、
その正体を見破りたい。

とにもかくにも本当にいくことができてよかった。

次のツアーfogboundも参加予定なので、どんなものが見れるのか楽しみだ。

それでは